名前の無い物語

皆に声をかけたのは
紙パックのジュースを飲んでいた少年



「がり勉…。」


「何だよ黒崎。顔ヤバイぜ?」



ハァ、とがり勉の言葉に棗はため息を吐いた
コイツより、今はあの馬鹿を探す方が先だ



「生徒会、の割りには会長である柚月がいねぇじゃねぇか。」


「そうなんですよ…。柚月がどこに行ったか知りません?」



桜の問いにがり勉はあ、と声をあげた


「知ってるのか?」


「知ってるっていうか…さっき森に入っていったぜ?」


嫌な予感、的中
森といえば、今はアレしかない



「もしかして、吉野も…?」



「この流れ的にそうだろうな…。」



予想外にアイツ行動的だ
いや、好奇心が旺盛なのか?



「クソ…何でじっとしてらんねぇんだよあの馬鹿!」


「あ、棗!」




< 90 / 595 >

この作品をシェア

pagetop