名前の無い物語
皆に声をかけたのは
紙パックのジュースを飲んでいた少年
「がり勉…。」
「何だよ黒崎。顔ヤバイぜ?」
ハァ、とがり勉の言葉に棗はため息を吐いた
コイツより、今はあの馬鹿を探す方が先だ
「生徒会、の割りには会長である柚月がいねぇじゃねぇか。」
「そうなんですよ…。柚月がどこに行ったか知りません?」
桜の問いにがり勉はあ、と声をあげた
「知ってるのか?」
「知ってるっていうか…さっき森に入っていったぜ?」
嫌な予感、的中
森といえば、今はアレしかない
「もしかして、吉野も…?」
「この流れ的にそうだろうな…。」
予想外にアイツ行動的だ
いや、好奇心が旺盛なのか?
「クソ…何でじっとしてらんねぇんだよあの馬鹿!」
「あ、棗!」