WinterAlice*
金のやりとりに手を染めた。

とある事業所に雇われて
ボディーガードやったり、
物運んだりした。
金さえもらえればなんだってした。
運ぶものは選ばなかった。
薬、凶器、企業の闇データ etc・・・
悪いことなのは知っていた。
でも止めようとは思わなかった。
仕事をしてそれをやりがいだとさえ思っていた。

そう感じ始めた頃、

俺は裏切られた。

所詮俺なんて捨て駒の一つにしか過ぎなかったんだろうけど、
それに気付けずにいた俺は、
いつものように指定された場所に行って
いつものように待ったんだ。
いつもと違ったのは取引相手は来なかったこと。
そしてその変わりに

敵が待っていたこと

一瞬にして囲まれた。
この道のベテランさん達に。
さすがだね。
心の中で拍手しながら戦闘態勢。
余裕
俺が勝つのは当たり前。
だとでも思ったのかな。
結果
それは分かり切っていた。
殺り合う、何も感じない。
痛みが分からない。
あ、殴られた。
倒れる。
蹴られる。
えり首をつかまれて、
何回も殴られた。
俺は何回攻撃をあてることができただろうか。
とても疑問に思う所だが、
0に等しいのだろう。
負けた。
初めての負けだった。
大の字になって息切れするボロボロ俺から
荷物を奪って確認すると、
「んだよ、空じゃねーかよ」
吐いて捨てるように残して全員去って行った。
空っぽだった。
俺も荷物も。
中身はいつも見ない。
見てはいけないから。
囮だったのか・・・
とただ、ただ、笑うしかなかった。

(笑) あはh、あはっ ふっ あはは、hhhh

バカだな。
全く。
もう何もわからなかった。
だから逃げ出した。
もうそれは命からがら。
なんとも無様に。
走って走った。
でも体力は限界で、
雪の中に倒れ込んで動けなくなってしまった。
ここは何処だろう。
どうやって逃げてきたのかも、
どうやって来たのかも
全く覚えが無かった。
どれくらい時間が経っただろうか。
そんな時、

ましろと出合った。

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