亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「―――ぐあっ………!?」
凄まじい力で殴られたキーツの身体は、全身を地面に打ち付けながら遠くに飛ばされた。
「―――…キーツ様!!」
アレクセイの叫びは聞こえなかった。
キーツは震える身体を動かし、地に両手を突いた。……やはり、それ以上は起き上がれない。
………たった一撃だが……………肋骨が折れたらしい。
キーツは胸部の鋭い痛みに堪えていた。
………遠くから、また、這う音が聞こえてきた。徐々に、徐々に………近付いて来る。
(…………一思いに殺す気は………無い様だな……)
真っ二つに……原形を止めない程ミンチ状にされてもおかしくない状況なのに。
………あの怪物は……どうやら自分を…ジワジワとなぶり殺す気の様だ。
(………最悪…だな……………)
どうにもならないのだろうか?
このままでは………本当に………。
(……………くそっ……くそっ……!!…………………)
睨み続けるしかない大地。
どうすれば…。
………どうすれば…。
―――ビュン、と突風が起こったかと思えば、キーツは再び、斧の柄で殴られた。
「―――…重力を操る?」
少年は眉をひそめた。少女はビクビクしながらコクリと頷いた。
「……………はい。…………多分………あの荒野では、魔獣以外何者も動けない状態かと………」
「………面白い魔法だな……」
鏡の中で、イヨルゴスは仕切りに斧を振っている。
狙われていた男は成す術も無く、ひたすら吹き飛ばされていた。
「……面白い」