亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
ローアンはクライブに向かって、刃こぼれした短剣を投げた。
ルアを盾にされるかもしれない。…しかし、そんなことはなかった。
突然、トゥラの分身の影が現れ、ローアンの投げた短剣の前に飛び込み、“闇入り”で短剣を消した。
―――途端、クライブのすぐ目の前に小さな闇が浮かび上がり、そこから消えた筈の短剣が飛んできた。
“闇入り”で物体を瞬間的に移動させる高度な技だ。
「………」
短剣はクライブの頬と髪を掠めた。ルアの身体を突き刺そうとしていた、クライブの剣の動きが鈍った。
それと同時に、すぐ脇から分身では無い、本体のトゥラが牙を向いて飛び掛かった。
間の無い、連続した二度の不意打ち。
……クライブは目と鼻の先に迫るトゥラを、構え遅れた剣の柄で思い切り突いた。
重い柄の先が、トゥラの喉元にめり込む。
直後、クライブは目にも止まらぬ速さで、捕らえていたルアとトゥラに、切れのある回し蹴りを放った。
「………!?」
重い一撃を食らった二匹は、質の良い分厚い絨毯を小石の様に撥ね、大理石を擦りながら、勢いよく壁に衝突した。
ルアは気を失い、トゥラは突かれた喉の痛みからか激しく咳き込み、おぼつかない足取りで立ち上がった身体は、バタリとすぐに倒れた。
「ルア……トゥラ……!」
………頬が熱い。
そっと手を伸ばすと、切れた頬傷に触れた指先に、生暖かい血が付いた。
……自分の血。
………久し振りに見た。
「………“闇溶け”もろくに使えない身で…………ライマンの上手い使い方だな……?……………………グラッゾの技を真似たか……………」
ルアを盾にされるかもしれない。…しかし、そんなことはなかった。
突然、トゥラの分身の影が現れ、ローアンの投げた短剣の前に飛び込み、“闇入り”で短剣を消した。
―――途端、クライブのすぐ目の前に小さな闇が浮かび上がり、そこから消えた筈の短剣が飛んできた。
“闇入り”で物体を瞬間的に移動させる高度な技だ。
「………」
短剣はクライブの頬と髪を掠めた。ルアの身体を突き刺そうとしていた、クライブの剣の動きが鈍った。
それと同時に、すぐ脇から分身では無い、本体のトゥラが牙を向いて飛び掛かった。
間の無い、連続した二度の不意打ち。
……クライブは目と鼻の先に迫るトゥラを、構え遅れた剣の柄で思い切り突いた。
重い柄の先が、トゥラの喉元にめり込む。
直後、クライブは目にも止まらぬ速さで、捕らえていたルアとトゥラに、切れのある回し蹴りを放った。
「………!?」
重い一撃を食らった二匹は、質の良い分厚い絨毯を小石の様に撥ね、大理石を擦りながら、勢いよく壁に衝突した。
ルアは気を失い、トゥラは突かれた喉の痛みからか激しく咳き込み、おぼつかない足取りで立ち上がった身体は、バタリとすぐに倒れた。
「ルア……トゥラ……!」
………頬が熱い。
そっと手を伸ばすと、切れた頬傷に触れた指先に、生暖かい血が付いた。
……自分の血。
………久し振りに見た。
「………“闇溶け”もろくに使えない身で…………ライマンの上手い使い方だな……?……………………グラッゾの技を真似たか……………」