亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――バチィッ
「―――っ…!?」
謁見の間に、耳をつんざく様な高周波が響き渡った。
……反射的に後退したクライブの右手は、火傷の様に赤みを帯び、黒い蒸気が上がっていた。
………その手には、掴んでいた魂は無い。
………外に出かかっていた真っ白な魂は、クライブの前でゆっくりと………主の身体に吸い込まれていった。
―――ビクン、と大きく上下するローアンの身体。
足元の魔方陣は消え去り、ローアンはその場で倒れた。
………息を吹き返したのか、横たわったまま目を見開いて激しく咳き込む。
……訳が分からない。
何が起こったのだ?
目下で苦しむローアンを凝視しながら、クライブは呆然としていた。
…………術が……失敗した。
………こんなこと、生まれて初めてのことだ。
何を間違ったのだろうか?
……………この小娘の魂は…確実に掴んでいたのだ。
しかし直前になって…。
(……………弾かれた…)
見えない何か。
何か別のものによって、術が拒まれたのだ。
第三者の魔力をもってしても防げないこの術が……破られるなど………。
(……………私の力が………弱くなったか………………或いは…………)
或いは…。