亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………もう既に動けない筈の少女の手が………。
………クライブの腕を、掴んだ。
………クライブは眉をひそめた。
小刻みに震える冷たい小さな手は、僅かな力で………自分の腕をギュッと掴み、爪を立ててきた。
………呆れた生命力だ。
さすがは、王族と言うか…。
………秘術や禁術を使えるだけのことはある。
………魂の規模が、普通の人間よりも大きいのだ。
(………しかし…)
もう、半分以上…引き摺り出している。
この手が離れるのも時間の問題。
(………この小娘で…………………王族は最後……)
王族もいなくなり、この憎らしい城も消せる。
念願の復讐が、これで果たせる。
この小さな人間一人を殺すのに………どれ程てこずったか………。小娘…一人に………。
……………。
………馬鹿らしい、愚かな迷いが………頭を過ぎった。
何を迷う。
何のための…復讐だ。
(……………人間とは………………………………実に……厄介だ……)
雑念を振り払い、クライブは術の力を一気に上げた。
手に握るのは……真っ白な塊。
淡く光るそれは、小娘の魂。
それが、僅かに反発しながら………身体から、離れようとしていた。
手に力を入れた。