亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――突然、クライブの周りが、白く輝き出した。
「―――!?」
…周囲を見回す。
その光は自分だけを囲んでいた。
足元には、花の様な形の美しい真っ白な魔方陣が浮かび上がる。
「………何だ…これは………………………………………っ…!?」
瞬間、身体の奥深くから、異常な程の……身体を焼尽くす様な高い熱が込み上げてきた。
………震える手は剣を離し、胸の辺りを彷徨いながら衣服を掴む。
……カランカラン…
クライブの重い剣が、大理石の上に落ちた。
両腕で胸部を押さえ、俯いたまま静かな呼吸を繰り返して………魔方陣の中で、ガクッと膝を突いた。
「………かはっ……………はぁ…………はぁ……………?………けほっ……」
喉を押さえて咳き込みながら、ローアンは涙混じりの瞳を見開いて、クライブに降り懸かったこの現状を見詰めていた。
しかし、ローアンは別段、驚いている様子は無い。
むしろ、酷く落ち着いていていた。
眩しい…。
頭上からも、魔方陣からも、目障りな純白の光が…自分を照らしてくる。
…太陽を忌み嫌うクライブにとって、これは耐えがたいものだった。
目を瞑っても、その輝きは変わらない。
―――熱い…。
片手を床に突いて、クライブはゆっくりと呼吸を繰り返した。
………目下の…青白い自分の手から………………白い蒸気が上った。
「…………………罠………か…」
傍らで、ローアンが身体を起こすのが見えた。
………彼女の額には珠の様な汗が浮かんでいる。