亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「…………その通りです……ユリアクロウ……」
ローアンはふらつきながらも、はっきりとそう言った。
今直ぐにでも……見下ろしてくるこの小娘に一太刀浴びせたい。
しかし思いとは裏腹に、身体はピクリとも動いてくれない。
………息をするだけで…今は精一杯だった。
「………………小賢しい……真似を………………」
『―――これは予期されていた事………若輩者よ……………』
耳鳴りのする中、頭上からのしわがれた声を、鼓膜はしっかりと受け止めた。
「―――………元老院………フッ………………守人………か………」
憎らしげな視線の先には……案の定。
………ユラユラと宙に漂う、三つの真っ白な法衣。
老人のしわがれた声だけが漏れる、顔の見えないフード。
クライブのいる魔方陣の囲む様に………三人の守人が何処からか舞い降りて来た。
『………そう。これは予期されていたもの………』
『………六年前のあの夜に………既に仕組まれていたもの………』
『……………愚かな若僧よ………命と引き換えにと…亡くなられた53世が………この様な事態を想定されぬ筈が無いであろう………』
「………」
「―――…お母様の禁術は………城と私の記憶の封印だけではない……?」
謁見の間まであと少しという地点で、ローアンは突如現れた守人から、重要な話を聞かされていた。
『―――左様。……53世は……六年後の開城の後、再びあの男に攻め入られる事を予期されておりました………』
『………そのため……謁見の間に…術を…』