亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
腰まである金髪を靡かせ、真っ赤な細身のドレスを着て、片手には剣を握っている………凛とした、勇ましい姫。





絵に描いた様な戦乙女が、目の前にいる。



「………ロ…ローアン様………?」

兵士の一人が影を相手にしているのも忘れ、呆然と立ち尽くしている。

………その後ろに迫っていた影に、ローアンは剣を投げた。




刃こぼれした剣は真直ぐ兵士の顔の横を通り、影の目玉に突き刺さった。

………一瞬だけ兵士は震えた。




「この格好は気にするな。他に着るものも無かったし……まぁ、標的になるにはいい服だな。……それにしても…随分と…酷い有様だな。………………師団長」

「――……は、はい…!?」

「前を向け。食われるぞ」

そう言った途端、ローアンの足元を白と黒の獣が通り過ぎ、師団長に齧り付こうとしていた大きな影に襲いかかった。

あっという間に、菱形の真っ赤な目玉が潰されていく。





「…………師団長……………幹部はどうした…?」

「………はっ。……………幹部は荒野の方で………あの化け物と応戦中との事。………オーウェン様だけは、城内へ…」

「それは、知っている。………ここに来る途中に………会った。………………急いで行ってやってくれ」



………少しだけ沈んだ彼女の声音。
それに気付いたのか気付いていないのか。師団長は御意、と呟いた。


ローアンは囲む影の群の向こうを見渡した。

視界の悪い荒野から、小刻みな地響きは止まない。






(……………キーツは………)





あそこだろうか。

あそこで、戦っているのだろうか。





総団長は重傷を負っていると、師団長は教えてくれた。
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