亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
部下達が集まる間、トウェインとジスカは並んで話していた。
……トウェインはいつも通り、深く帽子を被り、鋭い眼光を放っていた。
………が……その表情は何故か暗い。
……昨夜のことだろうか。
「………何だジスカ………じろじろとこっちを見て…」
ぱっとトウェインが視線を向けると、ジスカはあからさまに顔を背けた。
「………何でもねぇよ…」
………あんな夢を見た後なのだ。まともに顔が見れない…。
……多弁なこの男が……おとなしい。……何か食ったか?
トウェインは不思議そうに首を傾げたが、すぐに、正面に整列する兵士達に向き直った。
……滅多に会わない、異彩を放つ第4部隊が………同じように、隣りに整列している。
第3部隊の隊員達は何とも言えない緊張感と好奇心でいっぱいだった。
「―――うあ~……むさ苦しい……男臭いよ~」
空気の読めないイブがぶっきらぼうに呟いた。
「―――イブ…無駄口を叩くな…」
「……へーい…」
…と、言いながら、隣りに立っている第3部隊の隊員にちょっかいを出し始めるイブ。
ブーツに砂を掛けられながら、不幸な隊員は必死に堪えた。
「―――指示を下す。………予測していた時間が経過した」