亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



とある日、周りが尖った木で囲まれた妙な原っぱに連れてこられた。

………首の重くて固い紐は外してもらえない。
昨日の真っ黒な頭の奴が紐を握っていた。

「よーし………力試しだ。おいお前ら、明日始末する予定だった犬連れて来い」

わーわー大勢で叫んでいる。
何が始まるのか。
暇だったからペタリと草地に座り込んで、意味も無く穴を掘った。

「………連れてきたぞ……くそっ…暴れやがる!」

…ずるずると引き摺られてきたのは、布とかいう薄っぺらいのに包まれた生き物だった。
……でかい頭だ。

全身真っ赤で、自分よりも一回りかそれ以上でかい。四肢を縛られたそれは長い牙をむき出しにしてガーガー喚いていた。

「鎖を解いたらすぐに離れろ。後は高みの見物だ」



何故かこの酷く憤慨した生き物と向かい合わせられた。

自由になったらしいこの生き物はこっちをじっと睨み付けてくる。


「大丈夫かよ…?あのワイオーンがかなり凶暴だってこと、分かってるよな?………子供のフェーラなんか…まず相手にならねぇよ」

「その時はその時さ。あ~やっぱり役に立ちませんでした、無駄金でした、お終い…だ」

「……あんな高い金払っておいて………しっかし……あのフェーラ、全然怖がらねぇな…欠伸してるぜ」
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