亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………攻め込むのは簡単だ。多分、一、二分で全て終わるでしょう。しかしね…………………面白くないねぇ…」

「……隊長………そんなだから、第6部隊はのろいだの何だの言われるんです……」

「……そうかね?」

ハッハッハ~と軽く笑う。

何だこの人間。



すると、その背後から誰よりも小さい人影が歩いて来た。


………こちらも灰色の服。やや大きいのか、袖を何重にも捲っている。


自分よりほんの少し背が高い。



………女だ。匂いで分かる。





「クラッゾ隊長………あまりの長考は兵の統率を乱します。お早い決断を」

見た目とは裏腹に、少女はきっつい口調でズバズバと言った。

「……おおトウェイン。……貴方、口調から何まで総隊長と似てきましたね……」


少女は不意に、こっちに視線を向けた。






青い綺麗な目が、自分を捕らえた。



………思わず引っ込んだ。






「………おい…イブ」

煙草を壁にぐりぐりと押しつけ続けるアベレット。

とっくに火は消えている。









「―――………あいつら全員殺してこい…」
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