亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――昔、エルシアに会いに行った時だ。
エルシアの後ろで隠れる様に、こちらをじっと見ている少女がいた。
「三女のローアンよ」とエルシアは紹介してくれた。
子供は好きだった。
その場で屈んでにっこり笑うと、ローアンは………逃げた。
人見知りが激しいから、とエルシアは言ったが………あれは違う。きっと、次女のリネットがよからぬ入れ知恵を言ったのだろう。
リネットは大の男嫌いだ。
微笑んで来る男には注意しろ、とでも言われたに違いない。
それ以来、ローアンに会ってない。
本来、王族は姿を見せない。
エルシアに会いに行けたのは婚約をしていたからであって、他の姫君に会う機会など無かった。
これが………この女が………あのローアンなのか?
………そんなの分からない。分かる筈など無いのだが…。
(………エルシアに……似てる)
何処か、面影がある。
………まるで本当に…姉妹の様な…。
(………王族は皆…死んだんだ)
あの閉ざされた城の中に………そのままの形で遺体があるか、変わり果てているか………若しくは…影に。