亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
視界が揺らぎ、周りは元の部屋に戻った。
その時、部屋のドアを叩く音がした。
「……誰だ?…許可無く塔に上がってはいけない筈だが…」
キーツはぱっと背後のドアに視線を移すと、外からしわがれた声が聞こえた。
「………アレクセイに御座います、キーツ様」
「……アレクセイか…入れ」
答えた途端、開いたドアから白い軍服姿の、白髪混じりの男が入って来た。
恭しくお辞儀をし、丁寧な物言いで話始める。
「………塔内で生存していた兵士達の意識が戻りました。どの者も外傷らしきものは見当たらず、これは推測ですが……魔術で眠らされていたのかと」
「……ご苦労。………オーウェン、軍議はひとまずここで切らないか?……アレクセイに話がある」
オーウェンは肩を竦めた。
「……はいよ。………んじゃあ軍議はここまで~。敵さんの姿は確認したしな。……後で剣の訓練に付き合いなよ!」
オーウェンはずかずかと部屋から出て行った。
「………それでは失礼します」
再度兵士達の様子を見に行くため、リストも部屋から出て行った。
「掛けろ、アレクセイ」
キーツは向かいの椅子を指差した。アレクセイは一礼してゆっくりと腰を下ろした。