亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「―――この城は、渡さないわ」
クライブの背後に構えていた二人の部下が、出現した三人の老人に警戒した。
長い衣に身を包んだ三人の老人は、揃って妖しい笑みを浮かべる。
「…………姿無き元老院………守人(もりびと)か……聞いたことはあったが……見るのは初めてだ」
クライブは試す様に剣を抜き、正面にいた老人に剣を降り下ろした。
鋭利な刃は何の障害も無く、空気を斬るのと同様に老人の身体をすり抜けた。
実態の無い、城の守人。よく見れば、三人は足が無い。擦り切れたボロボロの長い法衣が、ユラユラと揺れていた。
『―――我は一人。我らは三人で一つ。幾千年もの間この城に宿る、ここに在ってここに在らざる者……』
三人の守人は揃って口を開いた。
異なる三つのしわがれた音色が響き、奇妙な不協和音を奏でていた。
それは耳で聞いているというよりも、直接頭に響いて来るようだった。
『―――この国は終わらない。我は、我らは、アレスの意志を継ぐ守人……この城は………落ちぬ』
「………今更になって………何をする気だ……」
クライブの呟きに、カルレットは微笑を浮かべた。
「―――鍵をかけるのよ…」