亡國の孤城 ～フェンネル・六年戦争～

「―――……最初から殺しておくべきだったのです」

細身の長い剣を握りしめ、ベルトークは低く身体を屈めて構えた。

「―――！？」

ジスカは思わず立ち上がった。
何が起きている？どうしてベルトーク隊長は……？

全くこの状況を把握出来ず、ジスカはどうすれば良いのか分からなかった。


戦闘体勢に入ったベルトーク。………本気だ。片目のレンズが怪しく光る。

「………」

トウェインは無言で身構えた。


………トウェインは片手を手前に伸ばした。………ふっと闇を纏ったかと思うと、華奢な手には、いつの間にか巨大な剣が握られている。


「……トウェイン……！？」

狼狽するジスカは息を呑んで叫んだ。



トウェインは剣をビュッと振り翳し、その場で切っ先を真下に向け……………。







………鈍い音がした。




トウェインの剣は深々と、床に刺さっていた。

剣をそのままにし、トウェインはまた一歩前へ進んだ。


「………私は…………お聞きしたいだけです。……………争いは望みません……」

姿勢を正し、トウェインはじっとベルトークを見据えた。



………ベルトークは剣を構えたまま、微動だにしない。