亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「……………や…………んっ…………」
思わず声が漏れてしまう。
無謀にも小さな抵抗を繰り返す。
着衣は乱れ、ブラウスは肩からずらされ、結っていた金髪の髪は解けて、ソファに流れていた。
………綺麗だ。
ジスカは素直にそう思った。
滑らかな白い肌も、華奢な身体も、濡れた唇も、羞恥心から潤んだ瞳も……。
朧気な夢よりもそれは格段になまめかしく、綺麗で、官能的に思えた。
息を弾ませ、ジスカは手早く上着を脱ぎ捨てる。
「…………行くなよ……………………何処にも…行くな………俺から離れるなよ………!」
再度口付けをしてきた。
それは深く、逃げようとする彼女の舌をいともたやすく絡み取る。
離れてもすぐ目の前にあるジスカの目は、揺れていた。
はぁ…と互いの吐息がかかる。
「…………ここから出て何になるんだよ…………お前が王族だとか…………そんなの知らねぇよ!………………あいつか……?………………あの………あの野郎に会うのか?……………忘れちまった婚約者なんか………どうでもいいだろ……!」
ジスカの膝がトウェインの両足の間に割り込んできた。
膝はそのまま前へ動いた。