亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………いくつだ?」
「………8歳…」
「………まだまだガキだな………………盲目だそうだが………分かるらしいな。………………本当か?」
「…………………おじさんのでかい顔の傷くらいは分かるよ」
「………………本物の様だな…」
「………………僕は何処に売られるの?」
「……………少なくとも、孤児院だとか生易しい場所じゃねぇな」
「………………………………良いね。退屈しなさそう…」
一週間かけて辿り着いた場所は、それはそれは大きな街だった。
見たことの無い高い建物や、多過ぎる人や物。行き交う馬車に商人。……しかし、決して華やかではない。
こんなに人がいるのに、まるで生気の無い妙な街だった。
傍らを走り去る野良犬も、野山で見掛ける野犬の方がずっとイキイキとしていると思った。
街の中央には、一際大きな建物があった。
天高く聳え立つ、細い塔。
「………あれは何?」
男ともうすんなりと話せるまで親しくなっていたダリルは、塔を指差す。
「………あれか?あれは『神声塔』っていうんだ。………ちょっと数年前まではインテリ共の遊び場だったんだが……今じゃ見る影も無いな」