亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………微量ですが……魔方陣の痕跡がありました」

「……種類は?」

「不明です。セフィロトの魔術でもなければ、ケルトやルーンでもありません。………一部ルーン文字の類が確認されましたが……」

「………ってことは………古代文字か………………よし。…アレクセイの爺さんを呼べ。熱い紅茶を添えてな。俺は上の資料室にいる」

オーウェンは階段を三段飛ばししながら駈け昇って行った。




同じ時、階下でも忙しくキーツは動いていた。


「………何だって?……昨夜の反応じゃないのか?」

足早に廊下を進むキーツを、師団長が追いかける。

「………はっ。………それとは別であるかと。数時間前からです。………正体不明の魔力の塊が、現れたり消えたりと……しかしこちらに少しずつ接近していると…」

「………次から次へと。…分かった……リストを呼べ」

「もう塔の屋上で捜索を開始しております。リスト様が最初に気付かれたので…」

















………肌を刺す、冷たい冬風。

しかし、身体全体を覆い、締め付ける様なこの寒気とは違う悪寒は、それとは全くの別物だろう。

全身の毛が逆立つ。


………何だろうか?

この沸き起こる不安と…ジワジワと来る衝動的な興奮は。
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