亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~















「―――で?………何か分かったのか?」



まだ日も昇らぬ夜明け前だというのに、貴族の塔の螺旋階段を、足早に昇って行くオーウェン。

寝癖も無ければ寝ぼけ眼でもない。

………こんな有り得ない光景………アレクセイがみたら心臓麻痺か何かでぽっくり逝ってしまうかもしれない。

前を通り過ぎて行くオーウェンを目で追いながら、兵士達は皆そんな事を思っていたりした。


「………詳細は不明ですが…場所は分かっています。…沈黙の森の奥………谷にある………黒い塔からです」

「………………アレスの使者さんらのお家じゃねぇか………何やらかしやがったんだ―?……」

昨夜、正体不明の強力な魔力が何処からか放出された。
薄暗い月明りの中、その時の光景を目にした者が、外で見張りをしていた者の中で何人かいた。

空高く、黒い柱の如き光が伸びたかと思えば、目に見える黒い突風が吹いた。
それは単なる風というよりも凄まじい覇気で、ビリビリと異様に空気が波打っていた。

一瞬耳が聞こえなくなるほどだったという。

………その後、ワイオーン達がやたらと暴れ回ったり、吠え続けたりと、放出された魔力に敏感に反応していたのだ。

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