亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「そうよ。……隊長以外、私達の隊長はいないもの」
「だから隊長は、隊~長~!ずっとそうなの!!」
(………ずっと……)
…………この三人に初めて会ったのはいつだったか。
どんな出会いだったか。
どう、私は接してきたか。
………トウェインでなくなっても、それは鮮明に覚えている。
忘れる筈も無い。
そう。
全て………。
…………変わった訳では無いのだ。
………捨てた訳では無いのだ。
捨てなくても、いいんだ。
「………次に会う時は……きっと戦場だけど…………………私達………敵だけど……隊長の敵にはならないから……」
マリアは首を傾げて微笑んだ。
「………育ててくれた上司に、剣なんか向けないよ」
「……絶対にね。………新しい約束よ」
………………次に会うのは、戦場。
悲しいけれど……最後になるのも、戦場かもしれない。
………死ぬな、とは言えない。
兵士として育てたのは、私なのだ。