亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………少しの間だけ、別室で話す時間を与えられた。
元部下の三人を前に苦笑するローアン。……三人がここに来るということは…。
「………もう知っているんだな?…………私が…本当はどういう人間なのか」
「……ええ、知ってるわ。ジスカ君から全部教えられたの」
やんわりとマリアは笑みを浮かべる。
………ジスカから………。……………あいつは……どうしているのか。
「なんか取り敢えず、隊長はお姫様なんでしょ?良いなぁ~良いなぁ~隊長激可愛い~」
「………イブ、実はあんまり分かってないでしょ」
ダリルが冷静に突っ込んだ。
「………ちょっと驚いたけど……何だか納得しちゃったわ。……隊長の神々しさは元からだったのね~。…隊長がドレス着るの?わぁ見たいわ~」
「………マリア、気になるのはそこ?」
二度目の突っ込みが入った。
………思わず、笑みが零れる。……………自分が何者か知っていながらも………この者達は……変わらない。
………変わらず接してくれる。
「………あ、隊~長~……そう言えば約束破ったね!!」
ニヤニヤしながらイブが突っ突いてきた。
………約束?
「この四人で決めたでしょ?…………嘘は無し。隠し事も、無し。…………破ったね隊長…?」
「………すまない」
自分から言ったことなのに、その自分が破ってしまった。申し訳無さそうに俯くと、イブがへらっと笑顔を浮かべた。
「隊長だから、良いの!!罰ゲームも無し!!」
………『隊長』。
「………もうお前達にとって、私は上司ではないのだぞ?……第4部隊隊長、トウェインは……もういないんだ」
結局は裏切る形となる。………罪悪感が胸に渦巻く。………最低だ。
「………そう言われても……僕らは隊長しか知らないし」
………ポツリとダリルが言った。