亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
軍議が終了し、二人が部屋から出て行った後、キーツは深い溜め息を吐いた。
力無く垂れる指先に、ルアが鼻先で小突く。
「……何だ?………疲れている様に見えるか?……お前は…優しいな…」
撫でると、目を細めて擦り寄るルア。
…甘える相手が違うだろう?
―――…お前の本当の御主人は、俺じゃないだろうが。
部屋の窓を開け放ち、縁に寄り掛かった。
目の前で光り輝く、丘の上の孤城を見上げる。
……一日に一回は、こうやってじっと城を眺めている。
これはもう…癖だ。習慣だ。
誰も入れない、無人の城。
クーデターが起こったあの日から、何も変わらない。
あの中はどうなっているのだろうか。
殺された王族の亡骸が今もそのまま横たわっているのか。
………惨いことだ。
……冷たくなった玉座に、何も語らぬカルレット様が……。
力無く垂れる指先に、ルアが鼻先で小突く。
「……何だ?………疲れている様に見えるか?……お前は…優しいな…」
撫でると、目を細めて擦り寄るルア。
…甘える相手が違うだろう?
―――…お前の本当の御主人は、俺じゃないだろうが。
部屋の窓を開け放ち、縁に寄り掛かった。
目の前で光り輝く、丘の上の孤城を見上げる。
……一日に一回は、こうやってじっと城を眺めている。
これはもう…癖だ。習慣だ。
誰も入れない、無人の城。
クーデターが起こったあの日から、何も変わらない。
あの中はどうなっているのだろうか。
殺された王族の亡骸が今もそのまま横たわっているのか。
………惨いことだ。
……冷たくなった玉座に、何も語らぬカルレット様が……。