♥恋と事件簿♥
「……難波」



涙を堪えて叫んだ私を、課長は苦しそうな表情で見上げた。

しかし、タイマーは残り50秒を示してる。

課長は私から目を離し、パチンパチンッと残されてた配線を切った。

そして逆さにして、ドライバーで分解。

黒の配線を見付けるなり、黒の線を切った。



「……どうして?」



「何が」



「いや、どうしてそんなスムーズに……」



「あぁ。何年前に介護施設に仕掛けられた時に見た。数年に1回、署やどこかしらの施設に置かれるだろ」



お祖父ちゃんや父親の話してた未解決で、犯人が捕まってない爆弾で間違いなかったんだ。



「でも、よく頑張ったな?」



課長は私の頭を撫で、口元を緩めた。

初めての表情に、ガキ扱いされてる事も忘れて食い入るように見る。

するとドクドクと、動悸が起こる。

胸が、弾んでる。



「……貴方は何なんですか」



「何が」



「別に。何でもありません……」



この気持ち、わかってる。

痛い位に、覚えてる。

それでも私は、今のまま。

上司として。

悠呀の親友とでしか、課長を見れない。

そうじゃないと、悠呀に顔向け出来ない。

あいつを忘れそうで、怖い。

また好きな人を失うなんて、私には出来ないんだから―――……。




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