遠距離恋愛
「ハロウィンね、だいたい皆衣装決まったから、後は準備だけだよ。」

その光景に向かって、あたしは言葉を投げる。

長い髪が邪魔で、両手で髪を持ち上げ、ポニーテールをしようと乱雑に髪をかき集める。


口にヘアゴムを加えたままだから、うまく話せない。


「おーマジか!俺の場合はヘルメットだけだなぁ。確か小学生ん時のヘルメットがあったハズ…それを改造すれば良くない!?」

「それ良いね!決まりッ。あたしも準備OKなんだぁ!てか、もともとあたしの服で行く!つばの大きなハットにはフワフワの羽をつけ加えるけど!あとは、スウェードのロングコートに…」


言葉を遮るようにメールが鳴る。

妹のサチコからだ。

【ケータ君に、当日ギター持ってくるように頼んでね☆】

まさに今の状況を見ているかのようなメールだ。

「ケータ!ハロウィンの時にギター弾いてね!皆楽しみにしてるよ!」

ケータは、弦を張り終えると、チューニングを始めた。

「おぉ!任せろ!」

顔をあげて短い返事をすると、またチューニングをする。

あたしが好きな姿。

その音をすっかり覚えたあたしは、鳴らす音と共に横で口ずさんでみる。


その度に、ケータは嬉しそうに笑う。


あたしも笑う。


ずっと、壊れないで欲しい二人の愛。


あたしはケータの側に居たいだけ…
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