遠距離恋愛
「ケータ、留学は一年だけじゃないの?」


あたしは単刀直入に話しを切り出した。


「ん?そうだよ!一年だけ!」

ケータはあまり深刻にしまいと、なるべく明るい声で答えてきた。


「だって、さっきヒロユキ君と話してる時、『一年経っても、また行くかも』って言ってたじゃない。」


そんな気を使うケータの空気を、バッサリと断ち切るあたしの重い一言。


「うん…あれは、つい…」

ケータは口を濁らせた。そのまま沈黙を守った。



ケータには、そんなところがある。

自分にとって不利な立場になると、口を閉ざしてしまうのだ。

その無言の空間が、あたしは嫌いだった。

自分の意見の一つ、なんで言えないんだろう。

会話のやり取りが苦手だと、ケータは言う。

そんなの、あたしには言い訳にしか聞こえなかった。

ケータは、あたしの気持ちを考えた事あるのだろうか。


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