間違いだらけの殺人
だから私からも
決して聞くことはなかった。


 彼は私の部屋へ来ることが多かった。

「なんだか落ち着く・・・」と

彼は言った。

私の部屋は、
いつもそれなりに
片付いていたように思う。

それは私が、
きれい好きなのでも
マメに掃除をしているからでもなく、

一度汚くしてしまうと
どんどんだらしなくなって、
もうどうでもよくなってしまうからであり、

元来面倒くさがり屋である自分の、
言わば自己防衛のような手段だと
思っている。
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