龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】

プレゼントのラッピングを終えて、お手伝いさん達を玄関でお見送りしたら、なんと十時!


やばっ! 圭吾さん、待ちくたびれてるかも


プレゼントは明日まで、彩名さんのアトリエで預かってもらうことにした。

自分の部屋で学生かばんの中身をチェックし、ダッシュで三階への階段を駆け上がった。


ドアをそおっと開けて、部屋の中を覗き込んだ。

意外にもCMの音楽が聞こえた。

あれ? テレビ観てる?

ううん 違う

テレビの前には誰もいない。

圭吾さん、お仕事?


ドアをもう少し押し開けると――


おわっ! 何? 何? 何?


わたしはいきなり部屋の中に引きずり込まれ、壁に押し付けられた。


「け、け、け、圭吾さん?」


「遅い」

圭吾さんがわたしの肩に顔を埋め、唸るように言う。

「何もいらない。何もしなくていい。ただ僕といて」


バカね。圭吾さんのためにやっているのよ


わたしは圭吾さんの背中にそっと手を回した。

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