君とこんぺいとう
2日間も休むわけにはいかず
次の日、私は出勤した。
同じフロアにいる隼人とは会わないわけにはいかない。
それを覚悟で会社に行くのはかなりの勇気が必要だった。
「小川、もう大丈夫なのか?」
席に着くなり、田代くんに声をかけられた。
「う…うん。大丈夫。ありがとう」
私はなるべく周りに目を向けないようにして
パソコンだけに集中した。
午前中は幸いなことにフロアに隼人の姿はなかった。
ボードの「外出」という文字を見て私はそっと息をついた。
社内にいたくなくて、一人でランチに出た帰り
閉まりかけたエレベーターに乗り込もうとして足が止まった。
急いで乗り込もうとした私に
ドアを開けてくれていたのは隼人だった。
目が合って動けない私を見て、彼は聞いた。
「乗らないのか?」
「あ…乗ります」
なぜか敬語で答えてしまった私は
エレベーターに乗り込むと彼と反対側の端に立った。
ドアが閉まると隼人は私を見た。
「体調、大丈夫か?」
「うん…ありがとう」
あんなにひどいことを言ったのに
優しい言葉をかけられて胸が痛んだ。
(早く着いて…っ)
2人の空間から逃げ出したかった。
「萌」
気がつくと隼人が隣に立っていた。
見上げるといつもと変わらない優しい瞳が私を見ている。
「萌に言われたこと考えたんだ。
俺、茜のことで萌に甘えてばかりだった。ごめんな」
(そうじゃないのに…)
私は泣きそうになりながら、黙って首を横に振った。
「萌のこと、もう苦しめたくないから
俺たち同僚に戻ろう」
隼人はそう言って微笑むと
私の頭を優しくなでた。
エレベーターがフロアに着くと
立ちすくんでいた私の背中に手を添えて
隼人は下りるように促してくれた。
「ごめん、先に戻ってて…」
「分かった。それじゃ」
隼人はそう言うと先に課に戻って行った
(もう戻れない…)
私は隼人の背中を見送りながら
あふれてくる涙をぬぐった。
次の日、私は出勤した。
同じフロアにいる隼人とは会わないわけにはいかない。
それを覚悟で会社に行くのはかなりの勇気が必要だった。
「小川、もう大丈夫なのか?」
席に着くなり、田代くんに声をかけられた。
「う…うん。大丈夫。ありがとう」
私はなるべく周りに目を向けないようにして
パソコンだけに集中した。
午前中は幸いなことにフロアに隼人の姿はなかった。
ボードの「外出」という文字を見て私はそっと息をついた。
社内にいたくなくて、一人でランチに出た帰り
閉まりかけたエレベーターに乗り込もうとして足が止まった。
急いで乗り込もうとした私に
ドアを開けてくれていたのは隼人だった。
目が合って動けない私を見て、彼は聞いた。
「乗らないのか?」
「あ…乗ります」
なぜか敬語で答えてしまった私は
エレベーターに乗り込むと彼と反対側の端に立った。
ドアが閉まると隼人は私を見た。
「体調、大丈夫か?」
「うん…ありがとう」
あんなにひどいことを言ったのに
優しい言葉をかけられて胸が痛んだ。
(早く着いて…っ)
2人の空間から逃げ出したかった。
「萌」
気がつくと隼人が隣に立っていた。
見上げるといつもと変わらない優しい瞳が私を見ている。
「萌に言われたこと考えたんだ。
俺、茜のことで萌に甘えてばかりだった。ごめんな」
(そうじゃないのに…)
私は泣きそうになりながら、黙って首を横に振った。
「萌のこと、もう苦しめたくないから
俺たち同僚に戻ろう」
隼人はそう言って微笑むと
私の頭を優しくなでた。
エレベーターがフロアに着くと
立ちすくんでいた私の背中に手を添えて
隼人は下りるように促してくれた。
「ごめん、先に戻ってて…」
「分かった。それじゃ」
隼人はそう言うと先に課に戻って行った
(もう戻れない…)
私は隼人の背中を見送りながら
あふれてくる涙をぬぐった。