君とこんぺいとう
どうすれば花火大会から逃れられるか。
定時まで私の頭を占めていたのは
そのことばかりだった。

(仕事って言って断ろうかな…)

そう思っていた私に
追い打ちをかけるように課長が言った。

「おい、小川。
さっき頼んだ仕事だけど納期が延びた。
来週までに出してくれればいいから」

「…はい」

(どうしてこんな時に限って
納期が延びるんだろう…)

がっかりした私の気持ちをよそに
前の席の田代くんが言った。

「小川、これで花火大会行けるな。
よかったよかった」

私は気付かれないように溜息をついた。


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