極上お姫様生活―2―【完】
◎LOVE*LIFE/#11

理性の壁なんて



ふわふわ、夢見心地。安心するような、ドキドキするような。




そんな不思議な感覚の中で、あたしはゆっくり目を開けた。






誰かの胸板が頬にぎゅっと押し付けられて、同時に熱が伝わる。……ん?



一体どういう状況なのか。ぴったりと密着していた身体を離して顔を上げる。







「急に敬語に戻ったな」



え!?


えええ!!!??





あたしの腰にがっしりと腕を回し、両手を組んでこれ以上離れられないようにしている彼は間違いなく八木原君で。



「あ……あれ!?」



何であたし、八木原君に抱き締められてるの!?






「何だよ、いきなりそんな驚いた顔して」



「え!?だってその、う、だって」




混乱する頭を抱えて考えてみても、……ダメ、思い出せない。




「どうしたんだ、蒼空?もしかして、今までの何も覚えてないとか?」






橘君が八木原君の後ろからひょっこり顔を出す。


「覚えて……ないって、どういう意味ですか?」




嫌な汗が背中を伝う。あたし、まさかとんでもない事やらかしちゃったんじゃあ……。





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