極上お姫様生活―2―【完】
せきを切ったように気持ちを吐き出す翼。辛い、辛い、言葉を繰り返しながらしゃくり上げる。
落ち着かせようと一歩翼に近付いた時、後ろから息を吐き出す音が聞こえて。
「困るな、俺の目の届かないとこで泣かれちゃ」
「っ、…!?」
翼がバッと顔を上げる。少し息を切らした松神先生を見て、更に激しく泣きじゃくり始めた。
「あ、さひぃ…!」
「ったく、溜め込んでんじゃねぇよ。何のために俺がいると思ってんだ」
乱暴な口調とは裏腹に、優しく翼の涙を拭う先生。それでも止まらないみたいだけど。
「八木原君」
そんな二人を微笑ましそうに見てる八木原君に駆け寄る。
「おー」
八木原君が先生を連れてきてくれたんだよね。
「あの、先生と話したんですか」
「もちろん。全部白状させた」
ニヤリ、八木原君が口角を上げる。……何だか、楽しそう。
「ほら、早く伝えろよ」
八木原君がしゃがみ込んでいる先生を見下ろしながら笑った。