極上お姫様生活―2―【完】


「…何を?」



「さぁ、何をだろうな?」




先生は少し気まずそうに翼から目を逸らした。というか、何か緊張してる?








「朝陽、隠し事はもうやめてよ」




翼が先生の胸ぐらを弱々しく掴んで、震える声を吐き出した。





「避けられるの、辛かった。一緒にいるのに話せないの、辛かったよ。もう…あんなの嫌だ……」





涙を溢れさせる翼を見て、あたしは思わず駆け寄りそうになった。でもそれを、何も言わずに八木原君が制する。




黙って見てろってことだよね。







「翼、顔上げてみ?」



敬語を使う時でも、誰かを叱る時でも、本性を現した時でもない、優しい優しい声。




促されて顔を上げた翼の目が見開かれる。



「お前といると余裕なくなるから。傍にいればすぐバレちまうんじゃないかと思って、避けてた」





キラキラ。先生が握っているそれよりも、翼の顔は輝いていた。そしてまた涙を流す。



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