屋上で
「…千春」
「……」
「俺と付き合ってくれますか?」
「…っ、は、はいっ…」
それを聞いた途端、俺は千春を抱きしめた。
体育館は依然、シーンとしたままだ。
「ゴホン」
誰かのわざとらしい咳払いが聞こえた。きっと茶一だろう。
持田ならもっと近くで聞こえるはずだ。
というより、忘れていた。
ここが体育館だという事を。
俺はマイクに口を近づける。
勿論、片方の手は千春の手を握ったままだ。
用事の済んだ俺は一刻も早く二人きりになりたかった。