年下のカノジョ~あの子は高校生~
「なんだか、今年のクリスマスはいつも以上に忙しくなりそうですね」

 おととい見た予約のメモと、目の前の発注書の束が物語っている。


 忙しいほどやる気が出てくる。

―――俺って仕事人間だなぁ。 



「ああ、嬉しい悲鳴だよ」
 満足そうにあごをなでる叔父さん。

 いつだって余裕があって頼れる大先輩。



「お店としては忙しくて何よりですけど。
 山岸さん、新人さんは使えそうですか?」

 何となく、山岸さんに聞いてみた。 

「例年だって客席は戦場のように慌しいですし、今年は更に上を行くわけですからね」


 下手に使えないバイトを入れるのであれば、反って人数が少なくても慣れた人間だけで仕事をこなすほうが面倒が起きないと思うのだが。



 だが、俺の心配をよそに山岸さんは嬉しそうだった。

「ええ。
 私もね、始めは柏木さんのこと“猫の手”ぐらいにしか期待してなかったんだけど。 昨日面接してよく分かったわ」

「何がですか?」
 嬉しそうな山岸さんに対し、俺は冷静だった。

「彼女、物覚えがすごくいいのよ。
 それに無駄がないの。
 少し動作がゆっくりではあるけれど、急いで仕事して失敗されるよりは、丁寧で確実に動いてもらったほうが全然いいわ。
 それにね、とびっきりの特技が彼女にはあるの」

「特技?」

―――なんだ?


 超能力で空でも飛ぶのか?

 それともヘソでお茶が沸かせるのか?



「笑顔がとっても魅力的なの。
 なんて言うのかなぁ・・・・・・人に安心感を与えるって感じよ」

 その言葉に、横に立つ叔父さんもうなづいている。


「へぇ」


 見る目が厳しい山岸さんにしては大絶賛である。

―――『笑顔』でしたか。
   まぁ、接客業にとっては大事なことだよな。
 


「それならどうにか店を回せそうですね。
 じゃ、俺、仕事始めます」

 そう言葉を締めて、二人に頭を下げてから自分の担当場所についた。

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