年下のカノジョ~あの子は高校生~
「さて、始めるか」
 腕まくりをしたところに山岸さんが俺に呼びかけた。


「三山さん」
 小走りで近づいてくる。

「はい?」
 何でしょう、と振り返る俺。


「あなたが作るパスタ、とても評判がいいわ。
 同じソースのパスタでも、三山さんが作ると一味違うんですって。
 中には『今日のパスタ担当は誰ですか?』と尋ねてくるお客さんもいるくらいよ」
 山岸さんの口から嬉しい言葉が聞けた。


「本当ですかっ?」
 思わずガッツポーズ。 

 コックとして働いているからには、味を褒められるのが何より嬉しい。



「でも、まだまだオーナーの腕には及びませんからね。
 もっと精進しないと」


 その言葉は嬉しいけれど、ここで満足してしまっては俺の成長はない。

 改めて気を引き締める。
 


「期待してるわ。
 そうそう、後で柏木さん紹介するわね。
 三山さんの他に昨日休みだった人は、仕事が終わったら少し残ってもらうように伝えて」

「分かりました」

「よろしくね」
 山岸さんがパンプスの音を響かせて出て行った。




 
 今日は大して混むこともなく、ラストオーダーの時点でお客様がいなかったので、早々に店じまいとなった。
 

 厨房の床に水を流して掃除を済ませ、山岸さんに言われた通り、俺と水田が残った。


 
 そして。

 彼女の顔を昨日見て知っているはずの赤川もだ。




 無駄に残っていると俺に文句を言われるのを察してか、せっせと銅鍋を磨いている。

< 22 / 718 >

この作品をシェア

pagetop