年下のカノジョ~あの子は高校生~
「なぁ、水田」
 待っている間に手持ち無沙汰な俺は同僚に話しかける。


「何だ?」
 腕を組んで作業台に寄りかかっている水田がこちらを向いた。


 俺も同様に寄りかかり、話を続ける。

「クリスマスケーキって今年も販売するのか?」



「まぁな。
 おかげさまで予約を頂いているからさ。
 30台くらいかな」
 普段はポーカーフェイスな水田が、ちょっと誇らしげな顔になった。


「へぇ、宣伝もしてないのにすごい数だな。
 口コミだけだろ?」



 口コミを侮る事なかれ。

 下手な広告をたくさん打つよりも、知人の口からの情報のほうが信用度が高いのだ。



 チラシでいくら綺麗に飾られた写真を見るよりも、知り合いの『あそこのお店、すごく美味しかったわよ』という一言が絶大な影響力を持つ。



「そうだな。
 忙しくなるけどありがたいよ。
 こういうのが職人冥利ってことなんだろうな」
 襟元のボタンを一つはずし、はにかみながらこの店自慢のパティシエが言う。


「そういう三山の料理だって評判いいぞ。
 ウチのかみさんはすっかりお前の料理のファンだからな」
 水田がぽんぽんと俺の肩をたたいてくる。


「ははっ。
 嬉しいこと言ってくれるねぇ」


 そんな談笑を交わしていると、新人さんを連れた山岸さんが入ってきた。



「みんな、今日もお疲れ様」
 山岸さんがゆるりと微笑んだ。

「お疲れ様です」
 挨拶をしつつ、俺は山岸さんに眼を向ける。

 正確にはその後ろに立つ少女にだ。 
 

 初対面という気恥ずかしさからか若干俯き加減であったが、くりっとした瞳がとても愛らしく、軽く結ばれた唇はやや厚めで形がいい。


 後ろで一つに束ねられた髪は今時にしては珍しく、カラーリングされていないつややかな黒髪。
 
 背は高過ぎず、低過ぎず。180センチある俺の胸くらいかな。
 
 体型は心持ち肉付がいい。

 特に胸の辺りが。


 ・・・・・・あ、いや、何でもない。
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