☆一番星☆
テーブルを挟んで向かい側にいた隼人さんが、動いた気配がした。


そして……


隼人さんに抱き締められた。




「絢華ちゃん」




こうやって抱き締められると、あったかい。


人の温もりってこんなにあったかいのに……


優太の温もりだけ、感じることができない。


そう思うと、また滝のようにポロポロと涙が溢れてきた。




「…ゆ、うたぁ……う…くッ…」




隼人さんの胸に顔を埋めて、ただ泣き続けた。






「隼人さん、ごめんね」




しばらく泣き続けたけれど、涙が落ち着いた頃、顔を隠しながら、隼人さんから離れた。


絶対に醜い顔をしてる。




「絢華ちゃんはさ、一人で頑張りすぎだよ。たまにはこうやって甘えていいんだよ?」




隼人さんはそう言ってくれるけれど、優太にしか甘えたことがないあたしには、それができない。
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