今夜、俺のトナリで眠りなよ
 夫に女がいて、私はただの跡取りを産むだけの女だって、知らされて。

 なのに、私は夫と寝室は別室で触れったことも無いなんて。むごい新婚生活だわ。

『あんたは兄貴の子を産むために結婚したんだ。それ以上のことを、兄貴も、俺の親も望んじゃいねえ』

 一樹君に言われた言葉を思い出して、私はため息を零した。


 深夜4時。玄関のドアが開く音で、私は目が覚めた。

 優樹さんが帰ってきた!

 私はソファで横になっている身体を起こすと、カーディガンを羽織って玄関へと向かった。

「おかえりなさい」と、私は自室に入ろうとしている優樹さんの背中に声をかける。

 びくっと背中を震わせた優樹さんが振り返った。

「もしかして、起きてたの?」

「たまたまソファで寝ちゃって……」

 嘘。優樹さんが何時に帰ってきているか知りたくて、ソファで待ってたの。
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