今夜、俺のトナリで眠りなよ
 つい転寝をしちゃったけど。

 こんな夜中に帰ってきているなんて。今まで、何をしていたのかしら?

「そう。君ももう寝るといいよ。僕は仕事で疲れているんだ。先に休ませてもらうから」

「あの…夕食は?」

「朝食べるから。そのままにしておいて。じゃあ」

 パタンと優樹さんが、部屋に入ってしまった。

 皺だらけのスーツの残像が、私の脳裏に焼きついた。

 毎日、スーツも皺ひとつなくアイロンをかけているのに……。どうしてそんなに皺だらけなの?

 優樹さん、今までどこに居たの?

 私は優樹さんと結婚した意味があるの?

 開くことのない優樹さんの寝室のドアをしばらく見つめてから、私はよろよろと自室に戻った。

 本当にこの結婚が、良縁だったのだろうか?

















 今日は珍しく優樹さんが、朝から家に居る。

 優樹さんは居間のソファに腰掛けて、新聞を読んでいた。

 結婚して初めて、家で休日を過ごしている。

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