今夜、俺のトナリで眠りなよ
 俺は足を組むと、くすくすと笑った。

「俺が何かを企んでいるとでも?」

「じゃなきゃ、おかしい。母さんを脅迫したんじゃないのかい?」

「この俺が? あんたの母親を脅して何になる。何の利益もならねえのに」

「僕たち親子を苦しめるためなら、何でもするのが君だろ?」

「逆だろ。俺たち親子を苦しめるためには手段を選ばないのがあんたらだろ」

「僕はそんな酷いことはしない」

「そうやって、偽善者面しやがって。金持ちの長男だからって、デカイ顔してんじゃねえよ」

 あんたら親子のせいで、俺ら親子がどんだけ苦労してか知らねえくせに。

 本妻の長男ってだけで、ぬくぬくと育っておいて、何でも手に入ると思うなよ。

「僕は大きな顔なんてしていない」

「あんたが今の地位で居られるのは、俺のおかげだと思え」

「何だって?」

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