【短編】こんなものいらない
「お会計、14300円になります」
「い…?」
コーヒー4・5杯とケーキ1つで14300円?
なんて疑問に思い、眉間にしわを寄せる。
すると慶太が軽く息を吸い込み、大きく吐き出した。
「あのね先輩、いい加減にしてくださいよさっきから」
「え、何、先輩…?」
慶太はレジの人を睨んでいるのに、彼は慶太とあたしを見て笑いを堪えている。
慶太より少し高い身長に、赤茶の髪。
「え?え?」
慶太の方を向いて説明を求めたけれど、代わりに本人が口を開いた。
「どーも初めまして。こいつの大先輩の西村っす」
「え、あ…初めまして…?」
「反応可愛いねー、彼女」
ここのバイトの人はお世辞が得意なんだろうか。
西村さんは口を結ぶことなく続けた。
「慶太のどこが良いのか俺にはわからないんだ。よかったら俺と付き合ってみる?楽しくさせてあげられるし!」
「は?!」
レジ越しに片手を取られ、西村さんの両手に包まれる。
今度ややけに真剣な顔。
「え、でも…ご、ごめんなさ…」