【短編】こんなものいらない
嬉しい。
嬉しい、嬉しい、嬉しい。
込み上げる何かが、涙になって溢れ出す。
一瞬でこんなにも涙が溢れるんだろうかと疑うくらいの涙だった。
「ちょ…、里奈?」
「ご、ごめ…。嬉しいー!」
ぽたりぽたりと洋服に染みがつく。
鼻の頭がつんとして、きっと赤くなっている。
「慶太だいすき」
「うん…」
声はうわずって、途切れ途切れの言葉でそう言った。
慶太は小さく相槌を打つと、車を脇道へと走らせる。
「慶太…?」
電灯が点滅するような暗い通りで、慶太は車を端に停車させた。
真剣な表情の慶太。
あたしが何かいけないことでも言ったんだろうかと少し不安になる。