今までの自分にサヨナラを


なのに、何で彼はこんな時まで太陽でいようとするのだろう……。


「親父の大事な店だからさ――」


彼は遠くを見ながら、宝物みたいに大事に大事にその言葉を紡いだ。


その響きはどこまでも優しさに満ちていて、部屋に広がっていく。


そして同じように切なさが重く広がったのも、気のせいではないはずだ……。


私の方の胸が痛くなって、無理する彼の痛々しい横顔が見ていられない。


すると、空気を切り裂くようにパンパンと急に彼が手を叩く。


「俺のことはいいからさ、またさゆの小説読みたいなぁ。また書いて」



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