今までの自分にサヨナラを


言葉とともに降り注いだのは、眩しく光る太陽のような笑顔。


いつもと何ら変わりない、偽りのない笑顔……。


胸が焼けるように痛みだす。


自分のことより、他人のことを想う彼が悲しい。


彼はいつだって他人の幸せを願ってしまうんだ。


そう、自分を蔑ろにしても――。


そんな、優しすぎる彼だから、悲しくなる。


彼は自分を一番には考えられない人だから……。


だから、私は何も言えなかった。


言葉なんて、何も見つかるはずがない。


「光、ちょっといいー?」


その時、感情が渦巻く脳内に、彼のお母さんの大きな声が遠くから響いた。



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