今までの自分にサヨナラを


「ふふ、聞いたよ~」


淡い黄色のゆったりとしたルームウェアに身を包んだのんちゃんが、そそくさと部屋に入ってくる。


口元はもちろんだが、ぱっちりとした目元まで嬉しそうにゆるませているから、私は思わず首を傾げた。


「おめでとう!」


突然私の隣に座ったかと思えば、横から勢い良く抱きつかれる。


私は驚きを隠せずに、のんちゃんの腕の中で固まるばかり。


「お兄ちゃんとさゆお姉ちゃんが付き合って嬉しいよぉ」


そんな私に比べてのんちゃんは、はしゃぐようにバタバタと動く足や力一杯抱きつく華奢な腕で、全身で喜びを届けてくれた。


私は胸があつくなった。


祝福してくれる人なんていないと思ったから。



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