今までの自分にサヨナラを


「あのさ……、電話、ずっと待ってたんだけど」


ふいに彼が沈んだ声でそう言った。


当たり前のように隣を歩いていた彼は、しょんぼりと肩を落とす。


……本当に私なんかからの電話を待ってたの……?


信じられない。


だけど、とぼとぼと歩く彼は、まるで元気のない子供のようだった。


その姿には微塵も嘘なんか見当たらなくて、私は返す言葉が見つからない。


先を歩く先輩たちを見つつ、沈黙が落ちる中でフローリングの床の模様だけがゆっくりと流れていった。


「……俺、嬉しかったんだよ。また、さゆに会えて――」



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