ヘタレ王子とヤンキー姫
そんな樺音の話を聞いて、懐かしいと笑っているのは恵美と颯太だった。

「そういうことだったんだ。」
「あの頃ボーッとしてて、ここ覚えてなくてさ、今まで探してたんだよ。入れ墨の人。」

理名が服を引っ張り、肩を出した。

そこには、花に止まって羽を休める、アゲハ蝶がいた。

「ママそれ?」

「樺音が探してたのはこれだろ?」

「スミだ。」

樺音が服を脱ぐと、左肩には蝶が、右肩には、ハートに矢が刺さった入れ墨がいれてあった。

「左の墨は、あの頃の教えを忘れないために、右のは、どっかで見てデザインが気に入ったから。」

笑い合う四人の高校生を、理名は優しい目で見ていた。
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