ヘタレ王子とヤンキー姫
昼休みに入り、恵美はいつものように颯太に弁当箱を二つ渡した。

「はい、お昼ご飯と夜ご飯。」
颯太の話を聞いてから、いつも昼食しか作らなかった恵美は、夕食もつくって持ってくるようになった。

朝は樺音がパンやおにぎり、その日の颯太のリクエストにあわせて買ってきてくれる。


「前から疑問なんだけど、颯太ってなんで夜のお弁当も、つくってもらうの?ママ作ってくれないの?」

春樹の問いかけに、颯太の顔が一瞬曇る。

「春樹ちょっとこい。」

樺音を止めたのは、颯太だった。

「やめろよ。事情知らねぇやつにキレても仕方ねぇだろ」

「だからって…まぁお前がいいって言うなら、なんにも言わねぇよ。」

颯太と樺音の会話を聞きながら、春樹は泣きそうな顔をして恵美に助けを求めていた。

けれど恵美は、気づかないふりをしていた。

「春樹。うちはお前のとことは違うんだよ。まぁ…反抗期みたいなもんかもな。お前も仲間だし、この前は樺音も自分の話したし、俺だけ話さないのは、卑怯だから教えてやるよ。」

そういうと、颯太は淡々とはなし始めた。
< 45 / 200 >

この作品をシェア

pagetop