ヘタレ王子とヤンキー姫
そこにたって樺音と話しているのは、後ろの方で見ていた男たちだった。

「気にしないで。あっ縄ほどいてついでに携帯とってくれると嬉しい。」

男たちは、恵美と春樹に近づくと、縄をほどいた。

樺音が恵美に携帯を渡す。

「大丈夫か?」

「なめてんの?」

樺音は笑っていた。

それを見て恵美も笑いだす。

その時、一人の男が叫んだ。

「桃山!!後ろ!!」

いつの間にか起き上がっていた豊が、ナイフをもって迫っていた。

とても避けきれる状況じゃないと判断した樺音は、受け止めようとした。

その時、樺音の前に誰かが立ちはだかった。

「まだ懲りねぇみてぇだな。言ったはずだぜ?おとなしくしてないと殺すって」


「樺音!!」

樺音が声に振り替えると、由衣が立っていた。

「なんでお前がここに?」

「お兄ちゃんヤンキーなの。私がDV受けてるとき助けてくれたの。それで豊がまた現れて、樺音は俺が殺すから、仲直りはできないって言ったときお兄ちゃんに相談して、二人で探してたの。それでなんとなくここにきたら、あの人がたってて。」

由衣が指差した方を見ると、颯太が顔を出した。
< 72 / 200 >

この作品をシェア

pagetop